1992年、バブル崩壊後、銀行経営の悪化が進行するなかで宮沢総理が、早く公的資金を入れて解決しよう、と提案したことがありました。しかし、ふだん高給をとっている銀行をなぜ税金で救済するのかという公的資金投入反対の大キャンペーンが起こり、この話は消えました。その後1997年、財政再建と貸し渋りで景気が大幅に悪化して国民が痛みを感じるようになってはじめて資本注入が行われました。この先送りは失敗だったとされています。一方、都知事選の後出しジャンケン、経時的に安くなっていく家電製品の購入、バレーボールの時間差攻撃、のように先送りが有効な場合もあります。オバマ前大統領の広島訪問も2期目の退任間際だからできたのでしょう。1期目や国内的アジェンダを抱えた時期に強行したらたいへんだったと思います。

国政レベル、個人の人生、事の軽重を問わず、人は急には決断できません。

理、感、得―理屈でわかって、感情でわかって、初めて人は納得する。 時は偉大な説得者と言えます。

優柔不断がいいわけではなく、人生のフェーズによっても戦略は変わります。また先送っているうちに幾何級数的に解決が困難になる事例もあります。しかし、一方で、今は明治維新や戦後の混乱期のように何でもかんでも即、行動して結果を出すべき時代とは思えません。がむしゃらに線形にやっても安易に答えが得られないなら非線形問題なのでハイブリッドに処理していく。休むも相場だと思います。