ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」は高校生の時から

ずっといつかは読みたいと思っていました。

でも、何となく重たくて先送りしてきました。

社会人となり、10年20年 未読のまま

いつしか忘れていました。

 

今、読まないと一生読まないかも、と思い読破しました。

新潮文庫で字が比較的大きくて読みやすかったです。

上 中 下 3巻を3日で読みました。

 

近代化の産みの苦しみがあって、

個人の人生がほんろうされる。

日本とロシアのほんろうのされかたの違いをしみじみ感じました。

 

日本は明治維新において、欧米に学んだエリート層が

トップダウンで近代国家の礎をつくりました。

国民は「坂の上の雲」をめざして努力する。

そのやる気が空回りはしなかったように思います。

方向性がずれた時期はあるにせよ。

 

一方「カラマーゾフの兄弟」を読んで思ったのは

ロシアは封建の世から脱出するのに下(労働者階級)からの

突き上げが激しくて大きな社会不安 動乱をくぐらなければならなかった

ということです。

ものの価値は他と比較して初めてわかります。

日本に与えられた恵みを感じました。

ドストエフスキーの文学にはロシア正教の世界観が通奏低音のように流れています。

東京にいた時御茶ノ水のニコライ堂の近くをよく歩いていましたが

ロシア正教にはご縁がなく、記憶のかなたへ飛んでいったきりになっていました。

今回本書を読むことで、ぐっと近くへ引き寄せられたように感じました。

 

人生は一歩踏み込むと思いがけない所へつながる。

時々視野を広げるのはとても楽しいですね。