女性週刊誌でよく取り上げられる特集として収納とダイエットがあります。

日本は欧米に比べ家がせまいので収納記事が関心をひくのでしょう。

あらゆるスキマを埋める収納アイデアとそれに対応するグッズの多さは

世界に類をみないのではないでしょうか。

わたしもスキマを計測してメジャー持参で時々収納グッズを買いに行きます。

それはそれで楽しいことです。

 

一方、スキマをスキマのままにしておくのも大事だと思います。

日本には「余白の美」という伝統があります。

茶室とか書院造りなど「ものを詰め込まない空間」が尊ばれてきました。

家の収納のみならず

見通しの悪い交差点 角の古い建物が解体され、シースルー空間が生まれると

とても新鮮です。やがて何か建ってしまいますが。

町内にある何の役にも立たない竹林 経済効率から言えば無価値でも

町の人たちの心の癒しにはなっています。バイオトープというのは人工的には

いくらお金を費やしても作ることはできません。

 

片づけがにがてな人は多いですね。特に男性は。

片づけにはエネルギーが必要です。

 

高校の物理でエントロピーの法則というのを習いました。

「物事はエネルギーを加えないと乱雑になる方向へ進む」

少し論理が飛躍しますが

エネルギーを加えないとどんどん散らかっていく という事

は宇宙の法則なんですね。

 

人のエネルギーは有限です。

10のエネルギーがあると仮定して―

仕事で6使って、家の雑用で3使って、1くらいしか残っていない。

へやの片づけーーー「また今度」となってしまいます。

片づけても、また散らかって、終わりがないので

モチベーションがすぐ下がる という事もあります。

 

少し散らかったら、少し片づける

これが多くの人にとって現実的な対応ではないでしょうか。

少ないエネルギーで持続可能です。

美しく整った空間に身を浸したかったら図書館やカフェへ行けば

事足ります。

 

そしてささやかなスキマを大事に生かす。小物雑貨や花を生けたり

効率中心の時空のなかに余白を楽しむ次元をビルトインする。

「余白」は「余裕」「余力」そして真っ白なキャンパスのように

明日を創造していくパワーを与えてくれます。

 

人口減少で日本はいやでもスキマが増えるわけですから

スキマを無理に埋めようとせず

豊かな空間として楽しめるようにしていきたいと思います。